変わること変わらないこと

副社長は「新たなる幕開け」をめちゃくちゃSnow Manに託しているのだな……とひしひしと感じると同時に、ジャニーズ、特にSnow Manは副社長直系でホモソーシャルのノリが強めな印象がありました。

それは悪いことではありません。グループというのは長いほどメンバーは家族以上に過ごすことになりますし、そこから形成される特殊な関係性がシンメだったりに繋がっていると思います。ジャニーズという浮世離れした特異なホモソーシャルが、一般社会では見られないであろうメンバー同士という幻想的な関係性の「尊さ」を築き上げています。

ただ「新たなる幕開け」を託すからには、良くも悪くも思想や行動の規範となり得るアイドルというのは、感覚も時代に沿ってアップデートしていかなくてはいけない。

副社長はそれを懸念していたからこそ、この3人を選んだのではないかな?と思っています。全てオタクの妄想の範囲を超えませんが……。

 

ちょっと話は変わるのですが、「作品と作者の乖離」という問題があります。

例えば好きで読んでいた漫画の作者が自分の思想とあまりにかけ離れていて「こんな人だとは思わなかった」ということが積もり積もって、ツイッターで炎上する、というのがたびたび見られます。

わたしはこういう事例が発生するたび、驚きこそすれ、プライベートまでイメージ通りにしろなんて、ましてや作者に対してどうして言える権利があるだろう?なんならそういう今までの生活が他とは異なる魅力的な作品を作ったかもしれないのに、作品と作者は別と考えるべきで個人的な嗜好にまで口を出すのは違うと思うタイプの人間です。(当然、よっぽど道徳や倫理に沿っていなかったり犯罪である場合は除きます)

 

でもアイドルはそうではありません。

美しい外見やスキルの高いパフォーマンスに惹かれるのも要素の一つではありますが、彼・彼女らの活動に対する考え、ファンへの思い、そこから生まれる愛嬌や生きていく上での思想や信条に惹かれて初めてアイドルとファンという関係になると思います。

時代の移り変わりを反映するアイドルには、だからこそ先述した通り価値観のアップデートを求められます。

 

日本で言えば「ハーフ」、世界的に見れば「ミックス」である康二とラウール。

康二がたまに言う「ハーフだから!」というネタはともすればとてもセンシティブに響いている人もいるかもしれません。かといって、ジェンダーの問題もそうですが、そこにばかり縛られすぎて彼らのパフォーマンスや作品を楽しめなくなってしまうというのは本末転倒というか……苦しいものがあるなと思います。

まためめとラウールはSNSでのセンシティブと言われてきた問題について積極的に発信しています。

今までの環境というのももちろんありますが、唯一本人の言葉で綴られるブログが会員制というのもあり、多くは語らず、耐え忍んでこそ、というのが美徳という風潮も少なからずあったように感じます。

ただ3人はそうじゃなかった。

ファンにとって空想の存在のようなアイドルであっても傷ついたら傷ついたと言うし、違うことは違うと言うし、ファンが行き過ぎれば問題を提起するし、自分のファンでいる以上覚悟を持って行動して欲しいと伝えたり、世間に対してはっきりと発信する、後ろめたいことをなかったことにしない、という様々な点において3人は新しい風だったと思います。

 

そしてここからが本題なのですが……。(前置き長……)

最近よく目にするめめあべの関係についてです。しょぴが言う通り「なんでそんなに阿部の肩持つの?」というくらい、めめはとにかく加入する前からもずっとあべちゃんのことを優しいと言っていたし、「あべちゃんに嘘つきたくない……」だったり、オタクにとっても「何かあったんか?」と思うことが多い最近でした。

ただ、先日のそれスノを見てなんとなくそれがほどけていったように思えました。

 

わたしは、いつかのエントリーでも書いたのですが「優しさとは強さ」だと思っています。

どんなに穏やかな人だって誰に対してもずっと優しくいるなんて無理だと思います。

ずっと優しくあることで誤解をされたり、精神的に参ってしまったこともきっとあったと思うんです。現に、今回のそれスノであべちゃんが康二への思いでそのことについて、とても救われた、とも語っていました。

だから、それでもなお「ずっと優しい」と言われ続けるほど優しくあり続けられるって彼の強さに他ならないと思います。

 

個人として外の世界に出るのが早かったあべちゃんは、一般人には知りえないほどのプレッシャーのなかにいただろうし、世間一般的な考えとして、大学院まで出て学科で表彰されるほどの優秀さであればきっと企業からも引く手数多、ひいては世界的に役に立つような人になれる人材だと思うんです。

それを彼は「すべてグループのため」と言い切る。現にジャニーズのクイズ王としてお茶の間に定着するまでになりましたが(余談ですが私の母はパフォーマンスしているあべちゃんを見ると「クイズのイメージが強すぎてなんか不思議な感じ……」とよく言っています)、同期のふっかが「すごくまっすぐで芯が通りすぎていて変わった子」と言うほど強い信念を持った人です。最年少でしたから、弟として甘えたり甘やかされたりもしてきたかと思うのですが、誰にも言えず押しつぶされそうになっていたこともきっとあったのだろうと思います。

 

めめがあべちゃんに対して言っているのはその「誰にも言えない」ということをしなくてもいいんじゃないか、とうことなのではないかと感じました。

めめは野性的な感覚が強い印象がありますが、それゆえ自分以外の人の心の機微にもとても聡い人だと思っています。昔からあべちゃんを優しいと言ってきたということは、だからこそきっとあべちゃんの機微を察していたのでしょう。

前置きで述べたようにめめにとっては慣例的なことはどうでもよくて、きっとあべちゃんにだって思っていることがあるなら口に出して欲しい、優しすぎるから尚更、と思っているのかもしれません。頑固な人だからこそ簡単に変えられないかもしれないけれど、そうやって作り上げられてきたものがある、それならばあべちゃんはそのままでいいから自分がその優しさを守りたいということなのかなと。

だから、弱っているあべちゃんにめめが声をかけたけどその時は大丈夫だと言ってしまったというエピソードで、後になって「あれ正解」とあべちゃんが言えたのはとてもすごいことなんだろうな……。

めめが言うSnow Manの安定感を作っているあべちゃんの優しさを守っているのが、あべちゃんが不器用ながらも寄りかかれるようなめめの強さなのだろうと思います。

 

変わらない意志の強さを繋いできた6人も、それを受け取り守っていくためにフレキシブルさを与えてくれた3人も、優しさで共鳴し合いひとつになった9人というのは間違いないはずです。