Bass Bon考察

Bass Bonについて鑑賞会で映像が出てからずっと考えてきましたが、キリがないのでなんとか形にしました。

まとめたというか、思いついたままに書き散らしているため文体もレイアウトもばらばらで見やすさに配慮していません!MVの見間違い、歌詞の読み違い等もあるかと思います!

すべて「個人の見解です」というやつです。

 

大筋としては、

放置されている間に(もしくは最初から?)自意識をもった佐久間が、最新の特化型だがある時点でラウールに発生したバグから少しずつ浸食していくうちに、ラウール自身にも自意識が芽生える。
だがそれにより容量を超えたために、もしくは外からの力(もしくはそのようなプログラムがされていた)によりシャットダウン・初期化される……というのを繰り返している。

みたいな印象。

 

そして作詞作曲の中野さん、アイカツや他アニソンにも多数楽曲提供されているとのことで大納得。

先日のマテムりでヒャダインさんがイタコのようにキャラクターをおろすとお話ししていましたが、アニソンやキャラソンってその世界観やキャラクターをかなり読み込むと思うんです、作り方は人それぞれでしょうが……。

世界観バチバチの楽曲ですので、そういった楽曲制作の経験がある方にうってつけ。

そして映像表現が非常に重要で、ビジュアルと密接にリンクする楽曲でもあると思うのです。

さくラウの企画段階でモード、ヴォーグ、未経験に挑むというのは決まっていたので企画書にはその旨あったのではと想像しますが、そこから中野さんがこの楽曲を作りあげたことも、多数の中からさくラウがそれを選んだことも、そうしてこの映像が出来上がり、Bass Bonという楽曲が生まれたこと、素晴らしく奇跡的ではないでしょうか……。

また、音源とMVの尺が違うことで、パフォーマンスでもって完成するという余白を残しているのもすごいことです。

 

 

以下考察です。
繰り返しになりますが、「個人の見解です」!

 

 

 


登場する色のイメージ

白:無垢、純粋、潔癖、神聖、空虚、無
黒:強さ、暗さ、孤独、恐怖、悲しみ、死
グレー:中立、不安、曖昧、無気力、迷い
オレンジ:幸福、遊び心、フレッシュ、エネルギー、楽観的、注意
ピンク:幸福、やさしさ、無邪気、情熱、若さ(ホットピンク:愛、色欲)

 

ピンクという色について

roygbiv(レインボーカラー)に存在しない色=人間の知覚外の色。

いわゆる「女の子の色」というイメージになったのは1953年ころから。(英国のファーストレディが身に着けたことによる)

それ以前は聖母マリアのシンボルカラーがブルーであったことから、むしろ「女の子の色」はブルーであった。

1910年代にはピンクは決定的で強い色というイメージから男の子に、ブルーは繊細で可憐であるというイメージから女の子に適しているという記述。

化学染料の登場によりブルーのセーラー服が男の子に流行、その後百貨店等のマーケティングにより色のイメージは逆転していく。

それまで子どもには白い服を着せていた(染料は高価ですぐ色落ちしてしまうため)

 

 

イントロ(冒頭)

白い液体(石膏?)から出てくる二人(すっぴんを思わせるこちらを見据える無垢な顔)

=誕生のメタファー:中には回路も何も入っていないガワだけ=空虚、無

※歌詞:New creation=新規作成

 

 

黒い世界

正面から、アングルは変わらない

顔にピンクあり
 →佐久間:右目の周りを覆っている
 →ラウール:右目の下半分から頬にかけて

操っているような動き→顔のピンク=浸食されているしるし?

顔にピンクがあるのはこの世界だけ

 

佐久間

目を細めている、薄目を開けている、視線はこちらにあっていないようにも見える

anのところだけ艶やかな表情

ラウールの動きを制御しているような印象

 

ラウール

佐久間の指の動きに合わせ顔が動く

佐久間の体が動き出すとその後ろへ潜っていくが、anのところで出てきて首元を抑える

佐久間の首をつかむ

心臓マッサージのような、佐久間の胸元に何かを送り込むような動き=蘇生?

こちらを見据えて指を動かす、佐久間の動きがこれにあっているようには見えない

佐久間の左後ろ・右手を佐久間の左肩に置く、佐久間の手の動きに合わせて首を動かしている

 

ラウールは佐久間に操作されているような動きが多いが、その逆はあまりない。

 

黒=死、孤独→初期化から新たに起動するまでの世界?

※MV最後、電源が落ちたように唐突に映像が切れる

背景にランダムに並ぶ石膏像=過去の自分たち?

冒頭に石膏のような白い液体から出てくる(生まれている)表現、石膏像はループすることで量産された自分?

 

 

1番Aメロ前半:色味がなくビニールのようなもので覆われた世界

ソファ・テーブル(食べ物)・チェスト・フロアライトが設置されている部屋。

テーブルの上にはカトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)3枚の皿それぞれにりんごとナッツ、クラッカー、チョコレート

しかしすべて色味がなくビニールのようなもので覆われている→意味を為さない

AIにとっての正しい世界?

二人ともソファの上に上がりアームに座る

 

右手は黒ネイル、左手は機械の手、髪型がアップで派手、黒のアイメイク・周りにシルバーライン・ほかの色みなし

 

ラウール

ソファに座ったまま白目で震えてから正面を見据える、ソファから降り立ち上がろうとする
この前の黒い世界でも最初にしていて、白目→起動(再起動)を意味している?

 

佐久間

機械の手でりんごをつかもうとしている(食べようとしている?)、あたりをうかがうような姿勢・視線、ソファからは下りず

※りんご:「欲望」「命」「完結」のメタファー(禁断の果実)

→りんごを食べたことで感情を得た、またはりんごを食べることで感情を得ることが記憶に残っていた=ループしている?

 

歌詞:New crearion~不完全なAwareness

→ラウールから佐久間・いずれも無機質な歌い方

ラウールパート「strange noise」や「不快な夢」:流れ込んでくる感情(エラー)に対して不快感

AIとしては正しい反応

2050年の世界でも完全な"Ai"には否定的?

ここの「まだ No no no...」は「完全な"Ai"」にかかっていて、AI(または愛)に否定的でありタブーな存在?
もしくはそれは2050年時点でのこと、このストーリーはそのもっと先の未来?

 

この後に出てくるSingularity シンギュラリティ2045年にそこに到達するといわれている事象。

シンギュラリティという言葉は2006年~の第三次AIブームで知られるようになっている。

この時点で「10~20年後に人口の約半分の労働をAIやロボットで賄える」という結果報告がされている。

ちなみに各時代のAIブームは以下の通り。

 

1960年代 第一次AIブーム
パズルなどの明確なルールがあるゲームなど、特定の問題をコンピュータが解く。

 

1970年代 冬の時代
不明確で複雑なルールだと問題が解けないということが知られると次第に下火に。
この時期のAIが解けるプログラムをおもちゃの問題(トイ・プロブレム)と呼ぶ。

 

1980年代 第二次AIブーム
エキスパートシステム(ルールに基づき入力されたデータにより専門的な答えを出すプログラム)により再興。

 

1980年代 研究低迷期
問題点が二つ。ひとつは一般常識レベルの膨大な知識を記述しなければならない。もうひとつは矛盾したルールに対応できなこと。

 

2006年~現在 第三次AIブーム
機械学習ディープラーニングの登場、ビッグデータの普及によりこの時代にはAIが自ら学習し推測するようになっている。それまでは人間がルールを定義し、それに則りAIが解決する方法が主流。

 

佐久間は初期型?人工知能という目新しさで興味を引いたが、はざまの時代に見放され完全なAi(愛)を知ることなく廃棄→次項につながる

 

 

草花に浸食された世界

顔にピンクなし、ボリュームのある髪型

背景はグリッター、キラキラしている

※歌詞→深刻なBugを抱えたBrain 芽生えかけたEmotions(Bug=Emotions)

 

佐久間

色とりどりの花:すでに感情が芽生えている
目を隠し口元だけで不気味に笑う:表情があらわになるのはこのシーンだけ
右中指にジュエリーリング、右薬指にゴールドのアーマーリング、左薬指先に爪飾り、左人差し指にジュエリーリング
髪はウェーブがかかり伸びている=AIとしては退廃的

 

ラウール

グリーンのみ:芽生える前、芽生えかけている(からまって不審そうな表情、草の中に隠れる)
両人差し指にシルバーリング、左小指に爪飾り
前髪があるが整えられている

 

歌詞:Having problems~揺れるDesire

→オクターブユニゾンだが佐久間の声が強め(浸食している?)、1A前半に比べ感情が見える艶やかな声

ここの「まだ No no no...」は廃棄される寸前(To be discarded)の消えそうなOne lightにすがるような、まだ消えないで、消えてしまう前に揺れる感情の意味を教えて的な意味、自意識が生まれている

 

佐久間は草花に浸食され、髪の毛も伸びている、ラウールに比べて手指につけているパーツが長く鋭い、長い間放置されたような状態、To be discarded→廃棄された過去?

ラウールは完全に初期化されている(もしくは新型のAI?)、佐久間はそれが完全に初期化されていない=バグ、佐久間のバグがラウールを浸食している

 

ラウールは新型としてバグもなくその都度初期化されてきた、佐久間は初期型で廃棄された過去・記憶が残っている?等々……

 

 

白い空間(ドロップ=be be beiの繰り返し)

冒頭のような白い液体に波紋が広がるところからこの白い空間にクロスフェードする

顔にピンクなし、なでつけた髪型、目元から頬に赤みがさしている

アングルは正面だけ

ここで初めてシンクロしたダンスをする

正面から、少し角度、奥行が生まれる

このシーンに限り佐久間はまばたきをしている

 

 

音源のみ/MV映像なしの部分

Singularity シンギュラリティ

技術的特異点=人間とAIの臨界点。

AIが人知を超える転換点のこと。またはそれにより人間の生活に大きな変化が起こるという概念。

一般的に、人間と等しくなったAIはシンギュラリティを起点に加速度的に進化を遂げると予測される。

 

forgot something=忘れ物
→生まれた意味をどこかに置いてきた=初期化された記憶?

dive deep=深く潜る、掘り下げる、のめりこむ
dive deepの繰り返し部分前半はラウールのみ
この楽曲のラウールにおいては高めから低音に下がっていく
後半はさらに高音の佐久間が重なり、diveで終わる

look up=見上げる、調べる、検索する

→記憶を掘り起こす?

 

佐久間

※歌詞:いずれも目に見える・耳に聞こえるものを対象としている

・Little voice...Little voice... 聞こえる方へ
・looking for me looking for you

=(自分/あなた)を探している・待ち望んでいる(自分・相手/形あるものを探している)

過去に破棄、放置され見つけられること(再起動すること)をずっと待っている→草花に浸食された世界の退廃的な姿?

 

ラウール

※歌詞:いずれも概念・形ないものを対象としている

・Think about...Think about... 駆け巡っていく
・looking for truth looking for love

=真実・愛を探し求めている(目に見えないものを探している)

完全なAIとして使用されてきたがバグにより感情が芽生え真実・愛を探し求めている?

 

 

サビ後の白い空間(間奏)

サビが終わると白い空間が暗転しスローモーションのような動き、早回しのようなカットが挟まれ再び白い空間で踊りだす。

この時にはシンクロではなく、黒い世界の時のような佐久間が操作しているような印象の動きになっているが、ラウールが銃のようなハンドサインをこちらに向けたり、佐久間を押しのけ前に来たりする。

佐久間はその後ろから再び操作しているような動き、水滴が落ちる音に合わせて液体を差すような動き。

 

暗転した空間で二人がライトペインティングをしているような早回しのシーン

→変異もしくは時間の経過を表している?その間のルックスはいずれも白い空間の時のまま。

・1A機械的な手を持つ佐久間の後→サブリミナルに挟まれる→草花に浸食された世界
・1サビ後白い空間が暗くなり二人だけが浮かび上がる(スローモーションのような表現)→前回より少し長めに挟まれる→再び明るくなり動いた後にピンクのジュースを飲むシーン

 

 

白い空間(間奏の後)

顔にピンクなし、なでつけた髪型

二人で一つのグラスに入ったピンクのジュースを同時に飲む=感情を取り込んでいる?
飲んでいる場所→奥行きはあるが少し暗く閉塞的

ピンクとオレンジの絵具が壁に投げつけられ流れ落ちてくる(感情の芽生え・浸食?)

 

アクションペインティング

顔料を垂らしたり飛び散らせたり汚すような絵画の様式。

フロイトの無意識(自我では把握できない・意識できない領域)の概念を下地にしていて、その無意識に触れる抽象表現。キャンバスの周りを踊るように動き、またはキャンバスの上に立って、無意識が命ずるままに顔料を落として、心理の内の無意識の部分が自身を表現するままにまかせる。

 

これに対しラウールは不安げ、不審、不快そうな表情

佐久間は目に強い意志をたたえ指を動かし操る様な動き?
佐久間は自我が芽生えており、強い感情の発露、白い世界にぶつけている
無意識という自我

二人が立ってダンス・ポージングをしている場所は明るくなり奥が開けさらに奥行きが生まれる、高さはない

 

 

ここで登場するモチーフ

すべて二つずつ、二人を意味している

 

ドーナツ

環状→永遠、終わらない、繰り返す

片方が落ちてきてぶつかる

ピンクのチョコレートがけ、カラフルなチョコスプレーがまぶされている

 

サイコロ

複数形dice、単数形die

同音異義で死ぬ、枯れる、故障する・停止する、バッテリーが切れる・止まる

語源はラテン語の与えられる・与えられた→概念は「偶然または運命によって与えられたもの」

皿に同時に落ちる

ピンク地・目は白

 

開ける→扉を開く、未来を切り開く、閉める→大切なものを守る、災難から身を守る(おまもり)、問題を解く

※歌詞→Get me out of here 扉壊して

グラスに同時に落ちる

色はピンク

 

テニスボール

フェルトに覆われゴム製、中は空洞=AIのメタファー?

片方だけ跳ねる(落ちてきた?)

ピンク地・ラインは白

 

ビリヤード

手球(白)が的球(ピンク)によって押し出される(本来は逆)

的球のナンバーは3?→本来は赤

 

本来は起こらないことが起きている=エラー、バグ

 

ラストの白い世界へ入る直前のカット 佐久間はこちらを見ているがラウールは視線が合っていない

 

 

ラストの白い世界

ピンクやオレンジの絵具にまみれ奥行も高さもある

顔にピンクなし、左側の前髪・サイドが下りている髪型

ピンクのロンググローブ→侵食の範囲が移り、広がっている?

ここでのラウールはかなり明るく濃いリップ。
白い空間以降も佐久間はリップメイクは淡く大きな変化はないように見られる。

 

前半のダンスはニューウェイといわれる幾何学的なヴォーグだったが、後半からはヴォーグフェム要素(女性らしさ、なめらかさ)が加わる

 

anのところ、ラウールはおどけたようにびっくりしたような表情、佐久間はイントロのような艶やかな表情

カットがフラッシュのように目まぐるしく変わる、カメラアングルも動く→感情の激化=ヒート?、走馬灯=ダウンする寸前?

草葉は落ち花は枯れる

 

ラストで二人が震える手を見ているとき

ラウール:初めて表情豊かに驚いている
佐久間:表情は変わらない(こうなることがわかっていた?)

 

石膏像の顔のピンク(ラウールと似た位置)が消えていく

最後はバチバチとショートするような音、電源が切れたように腕がだらりと落ち、映像も唐突に切れる

自意識が芽生える→容量を圧迫・負荷、ダウン→リセットされるプログラミングのAI?
=学習機能がリセットされ初期化?また冒頭の白い世界に戻り、これを永遠に繰り返す?

 

ピンク=感情を表す佐久間のほうが全編通して表情は無機質、花に浸食されたシーンのみ艶やか・不気味。最後にこと切れる前も冷静。

白=完全なAIの象徴のようなラウールは逆に常に強めの表情、警戒や不快感を表すよう。最後に震える手を見る時には大げさに目を見開き驚きの表情。

 

佐久間は感情の出力が安定している、ラウールは感情の出力が不安定

 

ラウールはシンギュラリティ(2045年)以降に量産された新型、もしくは特化型(=思考を持たないAI)
佐久間はAI黎明期に量産された初期型、もしくは汎用型(=自意識を持つAI)

 

 


【参考】

https://www.youtube.com/watch?v=jS6tiVDEqKg

https://www.adobe.com/jp/creativecloud/design/discover/color-meaning.html
https://www.elle.com/jp/culture/a235493/cfe-why-pink-has-become-girly170310/

https://www.tryeting.jp/column/1192/
https://ai-scholar.tech/learn/c0/0-1
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%80%E8%A1%93%E7%9A%84%E7%89%B9%E7%95%B0%E7%82%B9

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E6%84%8F%E8%AD%98
https://psycho-psycho.com/unconscious/

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%83%89
https://www.etymonline.com/jp/word/die#etymonline_v_8550
https://store.tennis-point.jp/info-center/tennisballs-types/

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AE%E3%83%B3%E3%82%B0
https://www.vogue.co.jp/lifestyle/culture/2019-06-12/voguing-the-history-decoded/cnihub